【映画レビュー】トップガン マーヴェリックを観た! トム・クルーズ以外不可能だった撮影とは?
TOP GUN Part2 のとんでもない変態映画人のこと
ども、バズメンくんです。今日は映画をレビューしていきます。
作品は久しぶりに映画館で観ました『トップガン マーヴェリック』です。マーベリックじゃなくマーヴェリックなんですね。
さて、三十年以上も前にPart1が放映された映画『トップガン』の続編ということでトム・クルーズが満を持して2022年に発表いたしました『トップガン マーヴェリック』
一体、今作の何がすごいのでしょうか。
まず、撮影方法がすごいです。
トムを筆頭にパイロット役の役者がみんな実際にF18戦闘機に乗って撮影しているそうです!
しかも、最大で7Gに耐えなければならない場面があったそう。7Gというのは体重50KGの人でしたら350KGの負荷がかかる圧力です。訓練しなければ気絶も当たり前の世界。
なので、トムは全員が耐えられるように数ヶ月の訓練期間を設けました。最初は小さなセスナ機から初め、段階的に飛行機を変えていき最終的にはジェット機での曲芸飛行やGのかかる操縦まで訓練を積ませました。
プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーがインタビューで答えたところによると、パート1の撮影でも実際に役者をコクピットへ乗せて上空で撮影を試みたことがあったそうですが、トム以外の役者は気絶するかゲロを吐くかで、映像としてはとても使い物にならなかったそうです。
つまり・・トム、あんた異常なんだよ!!普通じゃない!
トム・クルーズはミッションインポッシブルの撮影ではヘリコプターを操縦するなど桁違いの運転マニアですが、飛行機も例外ではないようで、今回の映画でも自身が所有している飛行機を映画に登場させています。今回の最初と最後に登場する飛行機は実際に彼の所有物で、撮影時もトムが操縦したそう。
とはいえ、映画トップガンは米軍との協業です。なので万が一撮影時に海中へ沈没した際の脱出訓練など相当ハードなトレーニングを彼自身も行っています。水中で逆さまになったコクピットから脱出する訓練などは、映画では使われないシーンです訓練だけです。本当にただの役者ではなく変態ですね。
『トップガン マーヴェリックの見せ所』
この映画『トップガン マーベリック』は空中での戦闘シーンが醍醐味なのですが、そのシーンはヘルメットを被り、口には酸素マスクをはめています。ですので顔は目と眉毛、鼻の付け根以外は見えません!それなのにわざわざ空中で撮影する意味などあったのでしょうか?現代の技術ならCGで顔を入れ替えることも可能です。つまり、役者は同乗せず米軍のパイロットと顔だけ入れ替えて編集することも方法としてはあったはずなのです。
しかし・・・・彼はそれをしなかったばかりかなんと、グリーンバック禁止まで宣言!!この変態!
グリーンバックというのは背景を緑にしたセットで撮影し、編集でCG合成してあたかも実際の映像のように見せるVFXの技術です。XMENなど多くのハリウッド映画はこの手法を用いて撮影をしています。しかし、トムはそれを拒否、グリーンバック使わない宣言をします。実写にこだわったのです。すると何が起こるか・・
映画の戦闘シーン、飛行シーンでは役者の顔が引きつったり、筋肉が強張ったり、眉間にシワがよったりしました。まさかそんなことのためにわざわざトレーニングしてまでジェット戦闘機に乗ったのでしょうか?そうなんです、わざわざそのシワや筋肉がGで歪むのを撮りたいがためにトムは多額の費用を捻出してまで実写での空撮にこだわったのです。
ぜひ、劇場の大画面でご覧ください。彼らの顔が歪むのを、役者の皮膚が変な方向に流れる姿を。これがトムです、トム・クルーズの映画です。
このコクピットの撮影のためにカメラも特別に用意されました。ソニーに開発をお願いし、六台のカメラがコックピット内に設置されました。しかしそれも単純にはいきません。最大で7Gもの負荷がかかる撮影で機材が外れる可能性などを米軍側と協議する必要があったのです。仮に外れた場合には大事故に繋がる可能性がありそれをクリアーするために弁護士との話し合いも長期に渡ったそうです。
カメラの台数も半端ではありません。コクピット以外にも船外というのか機外に取り付けたカメラ。並走する別の飛行機からのカメラ、地上のカメラなど最大二十台を超えるカメラが一時に使われたシーンもあるのだとか。この辺りはプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーがインタビューで答えているYouTubeがありますのでご覧ください↓
https://youtu.be/es_fECLNBRc?t=2026
今回の撮影で使われたカメラはソニーですが、ツァイスや富士フィルムのレンズ使われているそうです。こちらのサイトでレンズ等確認できます→https://ascmag.com/articles/top-gun-maverick
さて、前置きが長くなりましたがここからネタバレを大いに含むレビューをしていきます。まだ観ていない方はネタバレしますのでご注意ください!
パート1のあらすじ
前作の内容は米軍の戦闘機乗りのエキスパートが集まる学校『トップ・ガン』にトム・クルーズら二十代の優秀な若者たちが集まり、事変やトレーンングを通して成長していくというお話でした。
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パート2『トップガン マーヴェリク』のあらすじ
トム扮するマーベリックは昇進よりも飛行機に乗ることを優先してきたために、経歴とは反する低い階級にとどまったまま過ごしています。直近の任務は米軍が開発中の最新鋭戦闘機のテストパイロット。マッハ10という超ハイスピードへの挑戦をしています。ところが、軍上層部の都合でこの計画は中止されそうになります。というのも今の時代は人が乗る飛行機ではなく無人の戦闘機開発へと流れが変わってきているのです。そんな中なんとかマッハ10を記録し、有人飛行機の開発を継続させようとマーベリックは無謀にも思える挑戦をします。そして、機材のトラブルなどもあり地上に降りた彼を待っていたのは上官による厳しい一言。「もう、時代はパイロットを必要としていないのだ。全パイロットは不要になる」(意訳です。正確にはもうちょっと違ったセリフだったと思います。)ところが、これに対してマーベリックはこう答えます。
「そうかもしれない、だが、それは今ではない」
この答えがこの映画の全て、トム・クルーズという映画人の全てを語っています。
現代はCGを使用した撮影が主流となり、合成技術が向上したことで本当か嘘かわからないほど現実的な映像を作り出すことが可能になっています。そこにはスタジオが必要なだけで実写で使うロケ地や機材は不要になります。役者でさえ主役級以外の背景に映る人物はCGで作ることが可能です。例えばスターウォーズのネット配信シリーズの中で、ルークという主人公の数十年前の映像から顔を抜き出し、最新作の中に若いままのルークを登場させています。顔を合成し演技もCGで表情を作ることが可能です。役者も要らなくなるかもしれない時代なのです。
しかし、しかし、しかし、それは今ではナーーーーーイ!!
トムさんはそう言ってあらゆる映画で体を張り、実写にこだわったリアルな映像を目指しているのです。映画の中で「それは今ではない」と語るマーヴェリックを通し、CGに溢れた映画をなんとか食い止めようと奮闘する映画人トム・クルーズの姿が垣間見えるわけです。
マーヴェリックの次の任務とは?
さて、マーヴェリックは次の任務地へと派遣されます。場所はネバダ砂漠の空軍基地。そこで期限の迫った特殊な任務の教官としてマーヴェリックは呼ばれます。その作戦とは秘密裏に建造されている核施設の爆破です。完成前に破壊しなければ地域が汚染されるため急遽この特殊任務が組まれたようです。ただし、対空ミサイルの待ち構える過酷なルートや難しい爆撃の目標など困難が立ちはだかっています。そこで全米のトップパイロットであるトップガンの中から優秀なパイロットだけを集め訓練を開始。トムがその教鞭を取ります。そこで現れるのがパート1の事故で亡くなった親友の息子。そう彼こそが、若かりしマーヴェリックと同伴していた機体のトラブルで死んでしまったグースの息子なのです。息子はトムを嫌っています。それは事故や入隊時のいざこざが原因です。
この辺りまでは前作のオマージュ的なシーンや、ファンが大好きというツボをよく心得た作りになっています。まるで初代トップガンを観ているような気分になります。それはトムが相変わらずノーヘルで爆走させるKawasakiのバイクであり、背中に日本と台湾、米国の国旗が連なった革ジャンであり、海辺で半裸でスポーツする男たちであります。パート1では砂浜でビーチバレーでしたが、今回は砂浜でアメフトです。
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作戦本番
ストーリーは訓練から本番のミッションへと移行していきます。ところが、マーベリックのやり方に賛同できない上官により彼は教官の立場を解任され飛ぶことを辞めさせられてしまいます。
「もうマーヴェリックが空を飛ぶことはない」
視聴者以外の誰もがそう思った矢先、マーヴェリックは自らが見本となって最後の飛行に飛び立ちます。まだ練習生たちが成功していない操縦方法の見本を見せようと模擬ルートへ飛び立ちます。やればできること、自信を持つことの大切さを体を張って見せているわけです。まさに現実のトム・クルーズそのものです。
上官やトップガン練習生たちが見守る中、マーヴェリックはこうやって飛ぶんだと気合をみせ、見事ルートを完遂します。
その飛行を見た上官は考えを改め、なんとマーヴェリックをこの作戦の編隊長に任命します。
なんでやねん!!!
下ろしたはずのトムを今度はあろうことか隊長にしてしまうのです。数週間の厳しい訓練を目撃してきたはずなのに、どれだけ見る目がない上官なのでしょうか。それはさておき、ついに出撃の日となります。マーヴェリック は自身の僚機にグースの息子を指名します。グースの息子を信頼することで二人の中は回復するのでしょうか。米軍のトップガンたちを乗せた4機が大空を疾走していきます。そのあたりは映画館でどうぞ。
さて、作戦も終わり映画はラストの結末へ向かいます。超ネタバレ的に言うと、感の鋭い人は映画の開始15分ぐらいで、既にこの結末を簡単に予想できてしまうようなヒントが最初の方のセリフに隠れています。いや隠せてないです。簡単に察しがつく、ぬるい脚本になっています。でもそんなのは関係ありません。とにかくトム・クルーズが体を張って映画を作る。作った。これがトムの映画です。現在五十九歳のトム・クルーズが若手の役者とともにトレーニングに勤しみ7Gに耐えながら筋肉を震わせ、皮膚をひん曲げ、はぁーはぁーと息を上げながら映画を撮りきった。体で。ハッピーエンド以外にあり得ません。ダニエル・クレイグの007の最終話がハッピーエンドではなかったのをご存知でしょうか?なぜか?それは彼はスタントマンを使っているからです。007はスタントマンでアクションシーンを撮っている。もちろんCGも使っているでしょう。ダニエル・クレイグにはトムほど映画への思い入れはありません。桁が違うのです。トムとは。
トムが心配です。
世界を飛び回りビルを飛び越え、飛行機やヘリコプターを操縦し、空中にぶら下がったり落っこちたりしながら「ふぅ〜、危なかった、たーのしぃ」と、自ら一本の映画を撮影しているトム・クルーズは映画とともに散る予感しかありません。アクション以外の道へ、実写以外の道へ進める人間ならいいのですが、トムはこの道しか知らず、この道が大好きです。誰が止められるのでしょうか?しかし、もう六十歳。あと十年このスタイルを続けるのでしょうか?辞めるとしたらどのように?
トムが心配です。
ダニエル・クレイグには「お疲れ様でした」と声をかけられますが、トム・クルーズにはかけられません。彼は「まだまだこれから」というような顔つきでいつでも帰っていくのです。「次作で会おうぜ」と二十歳のマーヴェリックが言うような雰囲気で、間も無く還暦を迎えるトムがラストに微笑むのです。「だめよそんな目つきをしても」そう映画の中で恋人がマーヴェリックに言うシーンがあります。だめだよ本当に、そんな笑顔で締め括ったって。もう六十歳なんだよ。そう思いながらも次作を期待してしまう視聴者が映画館には沢山座っていることでしょう。「ダメよトム、そんな顔したって。」
あぁ、トムが心配です。ミッションインポッシブルが待ち遠しいです。2023年公開だそうです。そういえば予告編ではミッションインポッシブルの題字の下にパートワンと書いてあった気がしたのですが、もしかすると二本立ての映画なのかもしれませんね。ほらね、「まだまだ続けるぜ」と言うトムの笑顔があなたにも見えませんか?
そっちはデンジャーゾーンだぜ。
トムが心配です。
では、また。
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