【アマプラ映画レビュー】タイカ・ワイティティ監督『イーグルvsシャーク』は名作迷作?
スターウォーズ『マンダロリアン』の監督もこなしたワイティティの長編デビュー作は、ひねくれ者のカルト恋愛コメディ!
『ジョジョ・ラビット』『マイティ・ソー バトルロイヤル』を作った映画監督でもあるタイカ・ワイティティはなぜファンの心を鷲掴みにする稀有な存在なのでしょうか?その初期作品から魅力の秘密を探りたいと思います。*大きなネタバレはございませんが、話の展開など一部は触れています。
カイカ・ワイティティとは?
本日のバズメンくん映画レビューは現在引っ張り凧な人気映画作家のワイティティさんです。
スターウォーズのTVシリーズやマーベル作品など華々しい活躍をしている最中ですが、彼の長編デビュー作『イーグルvsシャーク』や二作目の『ボーイ』などは一風変わったカルト的作品として、マイナーながら一部に濃いファンを掴んでいます。
今回レビューするのはその長編デビュー作『イーグルVSシャーク』です。
『イーグルvsシャーク』あらすじ
自分を取り巻いてきた人生の出来事により、ひねくれた性格を持ってしまった男女。そんな二人が出会い、家族を巻き込んでハートウォーミングな恋愛コメディーを織りなします。と、書くと普通のコメディー映画を連想してしまいますが、ワイティティ監督は大分ズレています。
主人公の二人は、ニュージーランドのハンバーガーショップで巡り合いました。美人だけど奥手で自信がなく、ちょっと一般的ではない趣向のリリー。そして男の方は、オタクで虐められた経験を持つ見かけ倒しのマッチョくんで、優しいのかと思えば直後に嫌なことを付け足したりするひねくれた性格です。この二人が、家族を巻き込んでドタバタとコメディーを仕立てて行きます。しかし、ドタバタと言っても、大袈裟な笑いというよりもちょっとシュールな笑いを匂わせるタイプのコメディーなのがこの監督の個性です。
作風としてはアメリカのテレビドラマにありそうな会話の多い映画ですが、次々ゲラゲラ笑わせるという感じではなく、クスッとさせる作りになっています。
よく観なければ、気が付かずに通り過ぎてしまう些細な体の動きだとか、何気なく置かれた不思議なアイテム、おバカな逸話が随所に散りばめられています。この大袈裟ではない笑いのツボが共感できる人は大好きになってしまうタイプの監督です。
長編デビュー作
『イーグルvsシャーク』はタイカ・ワイティティ監督の第一回長編作品です。やはり、その後のヒット作などを観た後では、もの足らなさや展開の遅さ、会話や場面のしつこさを感じるでしょう。ただし、映画製作者が、初期にしか持つことのできない瑞々しい雰囲気があります。成功してからでは決して作れないのんびりとしたテンポ。金銭的余裕の無さを最大限にひっくり返そうという気概と、やりたいことに溢れた熱気が画面の端々から静かに伝わってきます。
日本未公開らしいので、大手の映画館では観客は呼べない作品とみなされたのでしょうか。しかし、ジョジョ・ラビット やマイティ・ソー バトルロイヤルなどのヒット作を作ることになる監督の才能の一端が垣間見られる映画だと思います。
『Aegle vs Shark』面白かった点
その1;大っぴらな笑いもありながら、気付く人だけが気付くという小さな笑いも各所に仕込まれている。馬鹿馬鹿しいキャラクターとは別に印象的なシーンがあり、じわじわと心に残る。
バズメンくん的にはお店の出入り口で人を避けるシーンがあるのですが、その時の主人公の避け方と小走りで店へ戻る仕草などに「うまい監督だなぁ〜」と感心しました。それと、人体のコミカルな動きもクスクスきます。
その2:どストライクではなく、どフォークでもなく微妙にカーブする変化球で攻めてくる。癖があるけど、キツ過ぎない体臭としての笑い。
その3:登場人物がそれぞれキャラ立ちしていて楽しい。なんとなくみんな憎めない愛らしさを持っていることがハートウォーミングさに繋がっている。
微妙だった点
その1:話の展開が鈍い。ありがちな映画仕立てで、どこか既視感がある。
その2:映画を通して似通った笑いが多用されている。
その3:微妙な笑いと微妙な感動に終始し、視聴後のスッキリ感がない。(良い点かもしれない)
以上がタイカ・ワイティティ監督『イーグルvsシャーク』の感想です。
さて最後にもう一本観るならこちらというオススメ映画を紹介します。
ウェス・アンダーソン監督の第一回長編デビュー作『アンソニーのハッピー・モーテル』
こちらも今をときめく人気映画監督ですが、初期にはワイティティさんと同じように低予算のコメディを作っていました。見比べてみるのも楽しいですよ。
さて、本日ご紹介した映画イーグルVSシャークは現時点ではAmazonプライムビデオでご視聴可能です。どんな風に感じたか感想をコメント下さい。次回は同じくワイティティ監督の『ボーイ』をレビューする予定です。
ではまた次回のレビューでお会いしましょう。
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