【映画レビュー】レア・セドゥの10代のやり場のなさと早漏フランス暴走族の悲しき青春映画『美しき棘』
レア・セドゥファンにはたまらないフランス十七歳の寂しさと破天荒、滑稽な男のちょっとかわいさ
監督はナタリー・ポートマン出演の『プラネタリウム』を撮ったレベッカ・ズロトブスキ監督。フランスの十代の若者のやるせなさと悲しみ、滑稽な男の子を描いた青春映画です。
映画『美しい棘』あらすじ
17歳になるフランス娘プリュダンス(レア・セドゥ)は母を亡くしやり場のない喪失感を抱えた少女。身の置き場のなさから、街の不良たちに近付き、自分でもどうしたら良いのかわからないような、十代特有の身の振り方でバイク乗りの青春に弄ばれていきます。
主演のレア・セドゥの良さ
ぱつんぱつん、むっちむちな、まもなく十七歳の娘を演じるのはレア・セドゥ。若々しい肉体を、さすがはフランス映画です、これがすっぽんぽんだ!と裸を露出するシーンがありつつ話が展開します。ただ性についてのグロテスクな表現や悦楽感とかはありません。どちらかというと、「これ監督かプロデューサーがヌード見たかっただけなんじゃない?」と勘繰ってしまうような、映画として必要かどうかもよく分からないヌードシーンです。映画を売るために?的な・・
いやむしろそういうの要らなかった気もします。それでいうと、同じレアセドゥ出演の『アデル、ブルーは熱い色』のほうがとんでもない露出と性の交わりに徹していて問題作品です。フランスしか作れない映画だと思うし、大丈夫なのかなって思ってしまう作品です。レア・セドゥ演じる若き仏人と助演女優の性描写がとても激しい映画なので閲覧は注意→ときどきアマプラにもあがってますが、見つからなかったのでアマゾンのDVDページリンク↓
『
アデル、ブルーは熱い色 [Blu-ray]』
『美しい棘』は全体としては、どちらかというと言葉少なめに表現するタイプの作品です。青春と痛みの一ページを物語ったよくある作品ではあります。正直レア・セドゥではなかったら見ようと思ったかわかりません・・
主人公のプリュダンスが無理して日本で言う暴走族に飛び込むのですが、なんか日本の暴走族からするとちょっと可愛げのあるバイク集団なんですよね。革ジャン着ておしゃれな雰囲気もあるし、ちょっとナヨっとした男もいるし。男子がめっちゃ早漏なとことかもかわいいし(笑)そのくせ言葉とかはつっぱってる。まぁそこがこの映画の魅力かもしれません(笑)
悪に染まりきれないバイク好きの一段と、ちょいちょいの悪ふざけと小悪党感で男をいじる乙女たちの青春群像。この辺は監督であるレベッカ・ズロトブスキが女性であることが大きいような気がします。やはり女性でないとこの滑稽な若い男は描けないのではないかと思いました。ダサすぎて男性自身では表に出しずらい情けなさがあります。監督その点は本当にうまいです。
ここが最高だよレアセドゥ!
で、レアセドゥ演じる主人公は、母の早すぎる喪失という、こころの置き場がない小娘を上手に演じています。レアセドゥのあの目!今でもそうですが、彼女の目はなぜなのかいつも悲しみが漂っているんですよね。なんというか、圧倒的な寂しさみたいなものが目の周りと口角から滲み出ている。もういるだけでなんか寂しい。こんな女優さんは希少です。今回の映画は若い時代の作品ですが、当時からその雰囲気がでているのだから驚きます。
この映画の要はここだったかも?
で、実は悪友を演じる助演の女性アガト・シュレンカー(Agathe Schlencker)がいいっす!
悪い女感がめちゃくちゃ出ている。しかも大きな悪ではなく、育ちの悪さと思春期のあらゆるものへの冷笑みたいな顔がバッチリ。
こんなぴったりな女優さんをよくぞみつけたなというはまり役ですし、演技がうまい。この映画の肝な部分です。彼女のおかげで映画の品(上品とかそういうことではなくて)が保たれているように感じましたし、見るに値する映画を構成する点だと思います。
ということで、フランス式暴走族の可愛げな情けなさと、育ちの悪い性悪女、そして若くてむちむちの寂しいレア・セドゥを同時に見るための映画だと思います。
めっちゃかっこつけた映画かというとそうでもないし、駄作でもないし、レアセドゥだけが魅力かというとそうでもない。まぁ男性こそ「あ〜、痛たたた〜」といいながら若い頃を思い出して見てくれよな!というフランス青春映画でした。
執筆時にはアマプラで視聴可能でしたこちらからAmazonPrime→『美しき棘 デジタルリマスター版』
では、また。
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