初心者バズメンくんのカメラ実験と映画日記です。

cinema_and_books映画&ブックレビュー
映画&ブックレビュー

【映画レビュー】ウクライナとロシアに隠された麦の秘密をあばく『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

MIシリーズのホワイト・ウィドウことヴァネッサ・カービー様も出演! 大恐慌下の時代にソ連の闇に潜入した英国人記者のみた真実とホロドモールとはなんだったのか?

現代ロシアVSウクライナにも通ずる歴史の闇といざこざ、実話をもとにした強烈なルポタージュ映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の視聴レビューです。ソビエトにより情報閉鎖された極寒のウクライナへ青年記者が命を顧みず潜入をはかる史実映画です!

sponsored link

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』あらすじ

世界を襲った大恐慌の中、ソビエト連邦はスターリン政治が機能し、豊かだという報道は真実なのか?答えを探しに行った英国記者が極寒の現地でみた恐怖と真実とは?
戦争を間近に控え情報操作や偽りの蔓延る世界で、危険をかえりみず現地に飛び込んだイギリス人記者は、闇の世界に落ちた著名な報道者たちを目にする。しかし主人公のジョーンズ記者は機転と勇気と大胆さで、厳戒態勢と閉口令をしかれる実際のウクライナへ侵入し、現地の悲惨な状況を伝えるべく奮闘するのだが・・

登場人物と役者

主人公は熱血漢と青年の若さをあわせもった英国人記者ガレス・ジョーンズ。実在の人物です。彼を演じるのはジェームス・ノートンという英国人の役者さん。彼がソビエトで会う女性記者をヴァネッサ・カービーが演じます。彼女はミッションインポッシブルにホワイト・ウィドウ役で数回出演をしている実力派。金髪と白い雪のような肌にどことなく男性性も感じさせる強さと妖艶さを併せ持った、一度見たら忘れられないタイプの役者さんです。今作でも目で物語る演技と美しさが、とても魅力的。
脇を固める俳優陣もみなさん演技が上手で、映画の質を高めていると思います。

監督はアグニェシュカ・ホランドさんです。(すいません他の作品は未見です・・)
初めて見た監督でしたが、うまいですね。そして絵作りが綺麗です。雪のシーン、小さな灯りのともる室内のシーン、光と影の使い方が丁寧で上手。ゆったりと時間をかけたワンシーンなどもあり、へたに過激な表現をつかわず、おちついてドラマを見せていく雰囲気が好印象。

そして、途中で作家のジョージ・オーウェルが出てきます。これも史実なのかはわかりませんが、彼の執筆にこの映画の主人公ジョーンズが一役かっていたというような作りになっています。詳細は映画をごらんください。

ちなみにオーウェルさんが出している著書はこちら→スペイン内戦にオーウェルみずからが乗り込み参戦した、内側からみたスペイン内乱のルポタージュ『カタロニア讃歌 (ちくま学芸文庫)

さてちょっと脱線しましたが、ということで、本作は歴史としても、サスペンスドラマとしても普通に楽しめる上出来な史実映画として完成された作品でした。

 

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の、ここが今ひとつな部分

・実話をもとにしているとはいえ、いまひとつハラハラ感が少ない。もっと生命の危機があったはずで緊張感みなぎるシーンがあったとおもうのだけど、そういう展開はあまり感じなかったです。
また、異国に侵入しているのにあまりに不用心だし、目立ちすぎる行動が多すぎる気がしました。写真をとるにしても、ご飯を屋外で食べるにしても、もっと用心して行っていただきたい(笑)

・イギリスって自分を立派でカッコよく描くのが大好きで、その裏の実際の世界で自身がおこなっていることは、紳士でもなんでもない自国利益しか鑑みる気のない大悪党部分があります。なので、そいういう目で見るとなんかちょっと疑って見てしまう部分もありますね。

もうちょっと深みがある映画にしていただけるとさらによかったかなと思います。

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』この映画を見てよかった点ともっと知りたくなった点

・スターリンの政策で失敗したはずのウクライナがどのようにして現在の小麦輸出大国になったのか、気になりました。そういった意味で、歴史を知り興味を広げてくれる映画として、いい作品だとおもいます。
それに、現在継続しているウクライナとロシアの戦争にも通じているこの二国関係の一旦を知ることができたことも、映画をみてよかった点です。
ちなみに、この映画でも取り上げられるウクライナの大飢饉と政策の失敗からくる虐殺などの事件はホロドモール事件として歴史に残っており、この映画を見た後でも色々しらべると、ロシア、ウクライナの関係性を知れて良いかもしれません。
こちらにホロモドールの概要を掲載したサイトがありましたのでリンク貼ります>>https://eleminist.com/article/1106

さて、いかがだったでしょうか、極寒の地のスパイ活動、報道活動。それに権力の闇などが入り混じった作品。現代でも似たような出来事を想像するのに難くない、考えさせる作品でした。

2024/08/07現在はアマゾンプライムで視聴可能でしたので気になる方は是非→『赤い闇 スターリンの冷たい大地で(字幕版)

 

それにしてもAmazonさん、終わりの部分でまだ字幕も出ており、映画が続いているのに、勝手に次のオススメを次元表示して始めるのやめてもらってもいいですか?

 

Category : 映画&ブックレビュー

コメントを残す





ブログ一覧へ戻る