【映画レビュー】オッペンハイマーのノーラン監督が初めてとった作品がアマプラに!
『フォロウィング』ノーランは長編初作品から時間軸を操る天才だった
今日は、インターステラやテネット、オッペンハイマーでその地位を揺るぎないものにしたクリストファー・ノーラン監督の初長編映画がAmazonプライムビデオにやってきましたので、見た感想をネタバレしないように書いていきます。
『フォロウィング/Following』あらすじ
売れない自称作家の無職男が他人を尾行する趣味をみつけます。最初は暇つぶしのつもりで始めた他人の尾行でしたが、ある時を境に、その尾行は別の意味を持ち始めます。
たんなる暇つぶしがやがて事件へと発展し、やる気のない無職男があっというまに事件の主人公へと担ぎ上げられてしまう顛末を、ノーラン得意の時間軸を入れ替えた脚本構成で見せていきます。
ノーランは最初から時間軸の入れ替えに熱心だった!
初長編ということで、制作費も巨額ではないし、現在のようなサポート体制もないなかで撮影、制作された映画ですが、今のノーラン監督が行っていることは既にこの時に確率されていました。彼の基本的な映画つくりの軸のようなものはこの初長編『フォロウィング』の中にほとんど入っています。
映画の趣向は『ユージュアル・サスペクツ』を思い起こさせるものがありました。脚本のうまさやどんでん返し、シンプルな出来事。ユージュアルサスペクツを楽しめた人は間違いなく面白く見れる映画だと思います。
ユージュアルはこちら→『ユージュアル・サスペクツ (字幕版)』
ここがうまいね!ノーラン監督
少人数の登場人物でひとつのしっかりした物語を作り切るうまさはさすがです。初期からこの完成度なのかと。
これを金額と、スタッフ人数と、制作日数を増していったのが昨今の大ヒットノーラン映画ですね。そういう意味では、素朴なつくりですが、逆に才能を知ることができる映画だとも言えます。
そして、撮影地の街がいい感じです。カフェのあるコーナ、渡る道路、屋上、背景やセットにぬかりがない完成度です。
役者の個性を引き出す演出
どことなくフランス映画のキャラクターを思わせるような人物像を感じました。独特で忘れ難い違和感がすこしある顔たち。一辺倒な綺麗さや醜さではない、ここの魅力を引き出す能力がクリストファーノーランにはあると思います。
『フォロウィング』全体としての感想
最新作のオッペンハイマー等に比べれば短い映画ですが、集中させて見させるつくりのうまさがあります。あっというまに見終えてしまう面白さ。そして、謎と時間軸の入れ替えにより一瞬頭に?が浮かびながら見続けることの楽しさがあります。
ノーランお手のものの初期衝動を存分に味わえる映画です。
いっぽうで、その後の作品をいくつもみてきた視聴者からすれば、「この感じね」という感想もなくはありません。以後の映画がより複雑な時間軸変更となり、壮大な物語となっている分、構成と脚本の妙だけを楽しむ以外の部分で物足りなさを感じるかもしれません。その点で言うと、『オッペンハイマー』はノーラン作品の中でもひとつ異種な魅力をもった作品になったと思います。ノーラン監督が別世界へ入ったなと思う映画です。
ということで、次回作がこれほど待ち遠しい現代監督もそうそういない稀有な方だと思います。そんなクリストファー・ノーラン監督の初期長編、見ないわけにはいきませんよね?
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ではまた映画の感想でおあいしましょ〜
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