初心者バズメンくんのカメラ実験と映画日記です。

cinema_and_books映画&ブックレビュー
映画&ブックレビュー

【映画レビュー】ロマの村と音楽!フランス人青年の仮住まいな別世界『ガッジョ・ディーロ』

本物のロマたちによる本物のロマ映画

ども、バズメンくんの映画レビューへようこそ。今日はヨーロッパ中にコミュニティをもつロマ(ジプシーともいうがこちらは差別用語の場合もあるのでここではロマとします)の生活を垣間見ることのできる映画です。この映画の何が素晴らしいかというと、まず今作の監督であるトニー・ガトリフさん自身がロマの出身だそうです。そして、だからこそなのですが出演するほとんどの人が本物のロマの方々。なので、映像に偽りが少ない。演技なのか、実際の生活姿なのかこちらからは判断できないシーンが沢山あります。まるでドキュメンタリーを観ているかのような感覚。

sponsored link

ストーリーあらすじ

フランスの青年ステファンが、とある歌手を探して田舎の村を訪れます。そこはロマの人々が暮らす濃いコミュニティのある寒村でした。そこで仲良くなった老人や村人とともにしばらく過ごすことになるステファン。村には人妻の魅惑的なロマ女性がいたり、無鉄砲な青年たちがいたりと、ステファンは濃いロマの生活にどっぷりと浸かることになります。
ロマの音楽に魅了されているステファンは、村人たちの助けを借りて歌手を探す中で、現地の音楽家たちを知っていきます。そして彼らの音楽を録音します。
一見、順調そうに進むステファンの音楽家探しの旅ですが、ロマとロマではない人々の争いにも巻き込まれ、村は騒がしくなっていきます。どんどんロマの生活に引き込まれ揉まれていくステファンくんから目が離せません。余所者のフランス人であるステファンはどう対処するのか。ロマの音楽とともにストーリーは進んでいきます。

 

この映画の魅力

先にも書いたとうり、出演者のほとんどが本物のロマの方々ということでリアル感がハンパないです。流浪の民である彼らの生活を擬似体験できます。演技とは思えない瞳があります。皺があります。肌の赤切れや汚れがあります。歌があります。どれも本物です。
村の女性や子供たちが異邦人を珍しがって窓から覗くシーンなどは見応えがあります。実際の旅人が感じる異邦人感と余所者を興味と違和感から覗かずにはいられない村人がよく描かれています。
また、寒村の町も良いです。ロマの色使いやBarのシーンも素敵です。濡れた床で立ち飲みする人々。薄暗い店内。シックな内装に比べて極彩色な飲み物のボトル。日本で言えば、田舎の寂れた食堂で筒に入れられた割り箸置きを眺めたり、時代物のパイプ椅子と手書きのメニューなお店に入ったような雰囲気(映画のお店はもう少し殺伐としていますが)

ロマのキャンプ地も、実際に現代でもそうして暮らしているであろうロマの人々を想像できる非常に現実的な絵になっています。
実家はお金持ちなのだけど不思議な緩い雰囲気の主人公ステファンも良いです。独特の間があります。ちょっとポン・ヌフの恋人に出てくる主人公の雰囲気に似た部分もあるように思います。

ロマ映画といえばロマ・ミュージック!

劇中で演奏される音楽のシーンは実際にロマの生バンドを感じさせます。好きな人にはロマ映画と言えばロマの音楽がセットとも言えます。彼らの音楽は虐げられてきたその歴史や日々の悲惨さ、そして生命の喜び、祭りなど様々な感情が一緒くたになったメロディが持ち味です。楽しくも切ない唯一無二の音楽。
さて、最後にロマのブラスバンドがかっこいい映画を一本紹介して今日は終わります。

明るくて切ないロマの音楽が満載の映画↓

炎のジプシーブラス 地図にない村から [DVD]

この映画も本物のロマのバンドが演奏をしています。ファンファーレ・チョカリーアというバンドがブラスとバイオリン等、弦楽器の大編成でNYへ向かうロードムービー的ドキュメント映画です。人を元気に勇気付ける音楽。そして。もちろん郷愁や悲嘆も含まれた寂しげな音色も内包しています。おすすめです。*この作品の上記リンクはAmazonのDVDです。

 

今日紹介した映画『ガッジョ・ディーロ(字幕版)
は現在(2023/01/15)時点で、Amazonプライムビデオで視聴可能です。作品名のリンクからプレビューなどチェックしてみてください。

 

では、また次回のレビューでお会いしましょう。

Category : 映画&ブックレビュー

コメントを残す





ブログ一覧へ戻る