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【映画感想】イスラエルとパレスチナを二つの映画でみた『ブルータリスト』『ノーアザーランド』

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今見るイスラエルとパレスチナ映画二本

今日はパレスチナの現実の今を撮影した映画と、架空のユダヤ人を描いた物語の二つを率直な感想とともにお伝えします。

『ブルータリスト』はナチスの迫害を逃れ、アメリカに移住したユダヤ人建築家の作り話です。実在の人物ではありません。

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『ブルータリスト』あらすじ

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この映画のあらすじは、故郷で成功する輝かしい未来を予定していた有能な建築家がナチスの台頭という時代背景のなか、アメリカへ逃げます。しかし、そのアメリカからも陰湿なイジメやユダヤ人だという理由による差別などを受け、思ったように行動できない主人公の生涯を置います。

『ブルータリスト』感想

三時間以上という長い映画で、途中で休憩が入りました。日本ではめずらしいですね。それだけ長いということです。ところがこの映画は長いことにあまり意味がないように感じました。長くする必要があってというより、ながくなってしまった、そんな感じ。そして、長い時間を見たからといって、なにかとんでもなく心に残るとか、時代を慎重に捉えているとか、そういうこともありません。
どちらかというと、時代にあわせまくって、なんとなくこんな感じが今はモテそうみたいな作意を感じました。黒人やゲイというマイノリティーに少し触れます。しかし、少し触れるだけで、その問題とか意識とかはあまり丁寧に提示されません。どこを見ているのか?という感じです。なので、あえてそういうシチュエーションをいれてやろうという作意に感じてしまいました。

そして、現代をみてみると、今まさにイスラエルがパレスチナ人をコロ●まくっている現実があります。何万人とコロ●ておきながら、この映画の主張としては「ユダヤ人は虐められ、苦難の歴史をおってきた、しかしめげずに働き、成功を最後には勝ち取るのだ」ということ。
そのことは現実をみてしまうと、いま彼らの国が行っている虐●はなんなんだ?と、冷めた目でみることになる。映画自体に深みはそれほどないので、三時間は少し長すぎました。

とはいえよかったこともあります。

ブルータリスト 良かった点

①まずは映像美
登場する建物や内装が美しいです。建築の映像として楽しめます。(実在の人物ではないので、著名な建築形からインスピレーションを得たイメージになっている模様)
そして、イタリアの石切場がロケ撮影かと思うのですが、綺麗すぎました。

②役者陣
ガイ・ピアーズ、エイドリアン・ブロディ、フェリシティー・ジョーンズいずれもうまく演じていてさすがです。

監督はブラディ・コベット(この作品でヴェネツィア映画祭の監督賞をとったとwikiにありましたが、正直ほかになかったのかな?ちょっと疑問。そのてんアカデミー賞では監督はとれず、俳優陣と撮影が賞をとったのはまだ納得がいきます。)

 

『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
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こちらの映画は、アカデミー賞をとったことでかなり知られたドキュメンタリー映画です。
2023年までに起きたイスラエルとパレスチナ間の問題を、当事者であるそれぞれの国の若者が撮影しました。

『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』あらすじ

パレスチナの村で、羊を飼いオリーブを育てながらくらすパレスチナ人の家族。その土地を、イスラエルの兵士や入植者たちが荒らします。次々と無慈悲に壊される家や畑、学校。

イスラエルの言い分は「不法な建築だ、軍に許可をとれ」

パレスチナ人の言い分は「私たちは大昔からここに住んで生活している、この土地を奪うのは許されない」

この両者が対立している現在を写した映画です。

 

『No Other Land』の捉え方

 

映画では、パレスチナ側からの視点としてほぼ撮影されます。しかし、監督の中にはイスラエル人もいます。なので、イスラエルを批判するイスラエル人とパレスチナ人の視点として撮られたドキュメンタリーです。

作中ではイスラエル人のくせにパレスチナ側に立ちやがって、写真を撮って炎上させてやるぞ、的なことを吐き捨てるイスラエル人入植者もいました。

 

『ノーアザーランド』の全体感

歴史的な長い紛争についてはここでは触れませんが、この映画は2023年までに撮影された映像なので、今現在おきているイスラエルの大規模なパレスチナへの攻撃は映っていません。もちろんパレスチナ側の襲撃も。
しかし、映像からは、あまりに理不尽とおもわれる力の差と、強烈な暴力を感じます。

簡単に判断できないからこそ、それぞれが見て考える必要がある映画だと思います。ブルータリストのような軽い内容ではありません。映画館をでるときの、心身の重さを覚悟したほうがいいかもしれません。そして、悲しいことに、この悲惨な映画よりも、2023年以後の現実のほうが、一段と目を覆う現状だということです。

監督:バーセル・アドラー、ハムダーン・バラール、ユヴァル・アブラハーム、ラヘル・ショール
(2025年には監督の一人であるハムダーン・バラールさんが、イスラエル入植者に暴力を受け、その後イスラエルに拘束されるという事件も発生。傷を負い、数日後後解放された。)

 

では、また。

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