【映画レビュー】『サイレント・トーキョー』は爆破シーンがとにかくOK世界

サイレント・トーキョー

あらすじなんかどうでもいい、とにかく爆破シーンを見て欲しい映画『サイレント・トーキョー』

石田ゆり子さん、佐藤浩二さん、西島秀俊さん、中村倫也さんなどそうそうたる出演陣を集めた日本のクライムサスペンス映画『サイレント・トーキョー』をレビューします。＊少々ネタバレします。

まず一言、『爆破シーンだけは見てください！』そこに尽きるかもしれないです。他はそんなに深くは感じませんが、爆破シーンだけはすごいです。正確にいうと爆破の火花の後です。火花と炎のCGは日本のレベルなんでイマイチなんですが、その先で爆風で飛ばされる瓦礫や煙、人々のシーンはよくできてます。
日本のレベルより一段上な完成度と思いました。

それから渋谷のスクランブル交差点のシーンはどこも撮影が大変だったろうなという規模の人出です。CGなのかもしれませんが、かなり上手く撮影していると感じました。普通に渋谷っぽさが前面に出てて嘘っぽ苦ないんです。
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一応あらすじ

ストーリーはそんなに驚くところもないのですが、一応あらすじ書きます。

首相と話をさせろというテロリストの要求があり、東京のメジャーな街で爆発や爆破予告が起きる。犯人の要求は一体？刑事やわけありそうな人妻、テロリストらしき男、それとも天才タイプの若い無口な男が犯人なのか？人間関係が入り組み、それぞれの過去の傷が事件に影響を及ぼしていく。そして東京の中心部でのさらなる爆破テロ予告が混乱を深める。

そんな感じのストーリーなのですが、正直ひねりも普通だし、目新しい感じは受けません。ただ爆破のシーンは見せ方がうまいので何度起きるのだろうと先を見たくなるつくりです。
どうやら原作に秦建日子さんの『サイレント・トーキョー: And so this is Xmas』という小説があるようなのですが、小説なら細かく時間を割いて深い思想と人間模様を描いていたのかもしれません。しかし、この映画、1時間39分しかないんです。なので都会を爆破するテロリストを描く作品としてはちょっと尺が足りてないと思います。細部を端折って、どんどん話を進めていきます。
いや、そもそも誰が主人公なのか疑問です。みんなそこそこ平等に目立っているし、それぞれが謎も多少持っている。原作を読んでいる人なら感情移入できたり、理解できるものなのでしょう。しかし初見の視聴者にはなんだかわからず違和感が多いところも多々あります。例えば刑事がマンションの前で突然職質を始める場面もなんでその人を怪しいと思ったのか説明やヒントも特にない。喫茶店で重要容疑者を見つけたのも何故その場所を刑事が突き止めたのか全く説明がない。全部が偶然任せに思えてしまう。

むしろ潔いのかも？！

ツッコミを入れればツッコミだらけな脚本なんですが、そんなことはどうでもいいのです。この映画は爆風のシーンだけを見れればそれでOK。佐藤浩一の鼻につくいつも通りな癖の濃い演技もいつも通り。西島さんもいつもの疲れた顔。綺麗だけど影のある中年女性の石田ゆり子さんもぴったりな配役。特に驚きはありません。しかし、端折った脚本で飽きずにどんどん話が展開していくところはむしろ好感です。
いや、小説の方はきっと深い感じになっているのでしょう。なんのためにテロを起こしたのか、感情移入できるように書かれていることでしょう。小説を先に読んでいれば映画でももっと気持ちを揺さぶられるかもしれません。そうですね、小説先に読んだ方がいいです。読んでください！あっこんなところに本が＞＞『サイレント・トーキョー: And so this is Xmas (河出文庫)Amazon』

ということで、とにかく爆破・爆風のシーンだけにはたどり着いてください。爆破のシーンはセンスとクオリティがワールドクラスだったことをお伝えします。90分少々と短いのでパパッと見られます。映像好きの方はそこまででも是非。日本映画にしては清々しいです。

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