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【映画レビュー】『生きるべきか死ぬべきか』二重三重のどんでん返し痛快コメディ&サスペンス


生きるべきか死ぬべきか(字幕版)

 

ヒットラーの侵攻に怯えながらも抵抗運動をするポーランド劇団員を描いた痛快コメディ!

”To Be or Not To Be” 映画『生きるべきか死ぬべきか』とは

1939年のワルシャワを舞台にヒットラーの軍事侵攻に怯えながらも、抵抗運動を起こす劇団員たちの奮闘を描いたサスペンス・コメディです。
対独抵抗運動をしている劇団員とドイツ側スパイの攻防がコメディタッチに描かれます。脚本が素晴らしく捕まったり逃げたり、騙したりばれたりが二転三転するハラハラな展開。同時にコメディとしてのセンスや質がかなり高いので、非常にバランス良く楽しめます。ここまで完成度の高いサスペンスコメディもなかなかないのではないでしょうか。
制作は1942年のアメリカですが、2023年の現代にみても全く遜色なく楽しめます。いや、むしろ脚本と見せ方という点においては現代物よりもはるかに質が高い作品です。白黒映画とあなどるなかれです。
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『生きるべきか死ぬべきか』あらすじ

ヒットラー率いるドイツ軍の侵攻を恐れながらも、果敢に抵抗運動をする劇団グループがいた。彼らは劇作家であり、売れっ子の役者であり、あるいは売れない役者たちであった。さらには劇団内外での不倫騒動も絡み、抵抗運動は混沌としてくる。
美しい女優が観客との浮気に傾いたことから、とある人物がドイツのスパイである疑いが生まれる。そのスパイを止めなければ抵抗運動の仲間たちが収容所に送られてしまう。劇団員たちは総出で作戦を練り、そのスパイをとめる行動に出る。しかし、仲間内に不倫相手がいたりと作戦は順調にはいかない。ついにはヘボ役者がゲシュタポの前で即興の演技をしなければならない羽目におちいる。一つ間違えば銃殺必死の、ひ汗ものの突貫脚本で劇団員たちはこのピンチを脱することができるのだろうか!
監督:エルンスト・ルビッチ(遺作)
出演:キャロル・ロンバート、ジャック・ベニー、他

 

なぜこんなにも面白いのか?

まず、脚本と登場人物たちのキャラクター設定に素晴らしさがあります。街の劇場に集う役者たちが抵抗運動をしている仲間なわけですが、それぞれに一筋縄ではない個性があります。例えば美しい女優には劇団員の中にシェイクスピアの長台詞を得意とする旦那がいます。しかしこの女優、若い観客と浮気しそうなんです。しかもその逢瀬のサインは旦那が舞台上でいうセリフ「生きるべきか死ぬべきか」(英語だとto be or not to be)なのです。
これにまず痺れます。旦那が舞台でそのセリフを放った瞬間に客席を立つ若者がいるわけです。彼は浮気相手なので、そのセリフを言った瞬間に立ち上がり彼女の楽屋へ会いに行きます。つまり、セリフが長いので旦那はしばらく帰ってこない。そのサインなんです。いい脚本ですね。
そして、ドラマはそこから始まるわけですが、この女優もただの浮気女ではないんです。ナチスの将校に付け入り、彼らの根城で演技をかます。抵抗運動の重要任務もこなします。
他にも売れない俳優たちがここぞとばかりに名演技(迷演技?)をすることで抵抗運動に参加していきます。いつかシェイクスピアの名セリフを演じることを夢見る端役。ヒットラーに似ている大根役者。舞台脚本家がそれぞれの持ち味を存分に活かします。

サスペンスコメディとしての描き方

アメリカの映画なので、ドイツの将校たちを間抜けな奴等として描きます。しかし、どんでん返しがあり作戦はバレたりするので見ている側はハラハラします。しかしこのハラハラが辛いものではなく次々に訪れるコメディ演出で笑いながら心配できちゃうんです。ここが見事。楽しくもドキドキさせる、しかもCGのない時代なので演技と脚本、舞台だけでそれを行います。血がドロドロと流れるアクションや戦争の殺戮シーンがあるわけでもなくここまで作れる。素晴らしい。

ストーリーも一筋縄ではなく、二転三転がありますし、劇団員たちそれぞれの魅力を引き出す脚本なので、深みがあります。性格の描写がチープじゃないんですよね。試聴後にいろんなキャラクターが好きになってしまう。そんな風に作られた映画です。

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