【映画レビュー】本来デスクワークのCIA分析官が知的に大暴れ『ジャック・ライアン シーズン1』
トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン シーズン1 予告編
トム・クランシー原作 CIAの分析官が現場に出て活躍するドラマ『 ジャック・ライアン シーズン1』とは?
先日ロケの熱量が映画並みに半端ないという感想を書いたAmazonオリジナルドラマトム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン シーズン3
ですが、今回はその最初のシリーズである『ジャック・ライアン1』です。こちらをレビューしていきます。*一部ネタバレがありますので未見の方はご注意ください。
クオリティが全編通じて落ちない
まずこの作品で最高な見所はシリーズ全般にわたってドラマの質が良いことです。
ロケ撮影もスタジオ撮影も同様に力が入っていて毎回が45分の映画を見ている質があります。八話全てを見ると四時間の映画を観た感じです。でも飽きない。
シーズン3で特に感心したロケ撮影の凄さほどではないにしろ、今回もアメリカ以外の国でも事件が起きるので海外でのロケシーンも多数あります。(シーズン3のロケの凄さはこちらに書きましたので、興味のある方はどうぞ→特に重要ではないようなシーンでも美しい橋や、駅舎が極めて美しく撮影されている『ジャック・ライアン3 レビュー』)
今回はむしろ、主人公や助演者たちの個性がわかるストーリー、脚本が良いです。バズメンくんはシーズン3から先に見てしまったのですが、それも失敗ではないなと思いました。なるほどシーズン1を見ると色々な点がつながってきます。
『ジャック・ライアン』シーズン1に登場する国
今回のドラマでは本国アメリカ以外に、フランスやシリア、トルコが現場として登場します。さすがにシーズン3よりもお金がなかったのかと思いますが、ドラマの脚本や主義で魅せることで結構ヒットして稼いだんだと思います。
今回の良さは飽きない脚本と主義にあるように思います。
Tom Clancy’s Jack Ryan season1 脚本と主義
しっかり作られているので飽きることなく最後まで観ることができるドラマなのですが、その要素がいくつかあると思います。
1:キャラ立ちした登場人物たち
主人公がちょっとぽっちゃりした顔立ちで超マッチョなCIA職員とは異なる。(脱ぐとマッチョなんだけどそれをあまり顔や走る動作などからは感じさせないキャラクターにしている)なので、MI6のトム・クルーズや007の主人公とは異なり、若干親近感が起こります。主人公はサッカーのポルトガル代表ヒューゴを思い出させる顔です。
助演の黒人男性もいいです。かならずスーツをこれでもかというくらいパリッと着こなしています。肩の部分のフィッテイングレベルが半端なく高いです。きっと生地も良いのだと思います。そういう細かな部分のキャラ立ちが丁寧に企画されています。適役のアラブ人男性陣もいい顔してますし、演技が上手い。
2:CIAだという観点がはっきりしている
結構エグいところを見せます。CIAなんで。他のヒーロー者と違って、CIA側や味方気味の登場人物が殺人もする。ここが結構ぐっときます。主人公(ヒーロー)側にグレーな部分を行う人物がいるんです。これはFBIのドラマではなくてCIAのドラマである面白さだと思います。
殺人を認めないまでも見逃す場面。これは単純なヒーローものではあり得ないですからね。ドラマに主義を感じました。殺人現場のシーンなどもそこそこエグいです。
ではここであらすじを書きます。
あらすじ
CIAのデスクワーク職員であるジャック・ライアン分析官が世界を股に掛ける敵に対して、知識や閃きを駆使して戦います。今回のシーズン1ではイスラムの団体がテロを計画しているというのが本筋です。フランスで起こったテロによる大量殺戮を行った首謀者。この男性はイスラム教徒ですが、フランスで教育を受けたエリート。しかし人種の差別などから人生がうまくいかず、やがてイスラム原理主義的な思想へと改心し、テロ組織のリーダーとなります。
一方主人公のライアンは金融などにも詳しいデスク仕事をこなしていますが、新たに赴任した上司により現場に連れ出されます。そこでも豊富な知識と観察眼の鋭さから頭角をあらわし、皆の気が付かない些細な事象から敵の作戦などを発見していきます。やがて彼はデスクから銃撃戦の起こる現場へと深く事件に足を踏み入れていきます。しかしどうやら彼にも過去の秘密の体験があり、そのトラウマとも戦いながら話は進んでいきます。
後半はテロ組織のリーダーの妻子や、国境なき医師団のアメリカ人捕虜、疫病なども絡み事件は複雑化していきます。ジャック・ライアンはそれを克服しテロ組織に打ち勝つことができるのだろうか。ドラマはスリリングに展開していきます。
セリフの良さ
あと、セリフもいいですね。ところどころでキャラクターが誠実なセリフを口にするのですが、それがなかなかいいです。本筋にはなくても差し障りないかもしれない会話なのですが、こういった些細なセリフが実は重厚さを作っていると感じます。
例えば、黒人の上司であるCAIの職員がジャック・ライアンにいいます。
「強く希望すれば、黒人のムスリム(イスラム教信者)がCIA長官になれると思っているのか」といいます。敵はフランスで人種差別のために人生が思うようにいかなかったわけだけれど、この黒人のCIA職員はアメリカで上手くいかないことを視聴者に暗に明示させます。それでもやるべきことがある。そう言っているような短いシーン。これはドラマの主題に通ずる良いシーンでした。他にも捕虜の医師団長が「我々は一個の個人である前に一人の医師でなければならない」と言い放つシーンも良かったです。敵か味方か、あるいは人種によらず傷付いたものを治す努力を優先するのが医者なのだ。こちらも短いですが重厚なシーンでした。*うろ覚えなのでセリフはいずれとも意訳です。
最後にちょっとだけ気になった点
やはりテロ組織のリーダー周りの心理的な描き方が少し物足りないかなと思います。フランスで成功できずに捻くれ、人種差別にも直面したからテロのリーダーへなったあたり、弱いな。描きがちょっと安易でありふれている。現実のもっと苦しい人間関係や人種の問題、アラブと欧州の関係性が一般市民にもたらす問題を真摯に深く取り入れても良かったのではないかと思いました。この点だけはアメリカ製のアメリカドラマでもの足らなさを感じるところです。
ちなみに以前紹介したこちらのドキュメンタリー映画はあまりに過酷で残虐なシーンまで映っている衝撃作ですが、本当のことが映っています。心を壊されるほどの悲惨で陰惨な現場が多数あるので見る際はくれぐれも気をつけて。でも事実はここにあります→ISISと戦っている地元団体のドキュメンタリーレビュー 『ラッカは静かに虐殺されている』人間の残虐性の極地が映されるドキュメンタリー
さて、本日は以上です。先にも言いましたとうり、ジャック・ライアンは全編をとうしてクオリティー低下のない作りのサスペンスドラマです。バズメン君的にもおすすめできるTVシリーズだと思いますのでぜひ、ご覧ください。
『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン シーズン1 予告編』
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ではまた次回の映画レビューでお会いしましょう。バズメンくんでした〜。
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